タンパク質制限は、腎臓の負担を減らす上で重要。
腎臓病と向き合うには、毎日の食事療法が大切なポイントです。
そこで今回は、
●腎臓病とその種類
●自宅でできるたんぱく質制限のコツ
についてお話しします。
病気に対する知識を深め、ストレスがない形で健康的な生活を続けるためにも、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
目次
腎臓の働き
![腎臓の働き](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H2腎臓-1.webp)
腎臓は、背中側の腰の上に、左右一つずつある臓器。
そらまめのような形をしていて、大人の握りこぶし分の大きさがあるとも言われています。
左右の腎臓には、2本の血管と尿管があります。血管を通って腎臓に血液が流れ、腎臓でろ過された清潔な血液が体に戻ります。
その際に腎臓ではさまざま働きをしてくれています。
・尿を作り、老廃物を体外に出す
・血圧を適切な状態にコントロールする
・血液を作る働きをサポートする
・ビタミンDを活性化し、骨を強くする
・体内環境のバランスを保つ
腎臓病のタイプ
![腎臓病のタイプ](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/358755_m-1200x801.jpg)
このような、体にとってさまざまな役割を持っている腎臓に問題が起きると、身体に負担が増えていきます。
腎臓病の疾患には、原発性と続発性、急性的なものと慢性的なものなど、さまざまな種類があります。
(1)原発性と続発性
(2)急性と慢性
(3)末期腎不全
(1)原発性と続発性
![(1)原発性と続発性](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3原発生と続発性-1.webp)
原発性の腎臓病と続発性の腎臓病との違いは、「腎臓に問題があって病気が引き起こされているか」「ほかの病気が原因になっているか」です。
原発性は前者に当たり、腎臓に何らかの問題があるために腎臓病になるタイプです。腎臓に炎症が起こる『腎炎』が代表的だとされています。
これに対し、続発性は糖尿病や高血圧など、腎臓以外の病気が関係して腎臓病になるタイプです。『糖尿病性腎症』『腎硬化症』など、さまざまな種類があります。
(2)急性と慢性
![(2)急性と慢性](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3急性と慢性-1.webp)
急性の腎臓病か、慢性の腎臓病かでも、病気の特徴や向き合い方が変わってきます。
急性の腎臓病の特徴は、症状が急激にあらわれるうえに日によっての変化が激しいことです。時間や日によって症状が変わりやすく、時に尿がまったく出ないほどの状態に陥るケースもありますが、病院での治療で改善と回復が期待できます。
慢性の腎臓病は症状が比較的ゆっくりと進みますが、患者さま自身で症状を自覚しにくいという問題があります。根本的な治療法が確立されていないため、腎臓の機能が失われる腎不全になりやすいというリスクも高いです。
深刻な症状に進むことを避けるためには、定期検診や健康診断を通じ、ご自身の健康状態を把握することが欠かせません。
(3)末期腎不全
![(3)末期腎不全](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3末期腎不全-2.webp)
急性腎不全や慢性腎不全が進行すると、末期腎不全になります。
慢性腎不全が悪化すると尿毒症状が出ている「腎不全保存期」になり、症状に対する治療が必要な状態になります。
その治療に関わらず、症状の緩和が見られない状態が、この末期腎不全です。
タンパク質制限のポイント
![腎臓病と向き合う](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2020/10/20201027-2-のコピー.jpg)
腎臓病の進行を防ぎ、健康的に生活できる状態を長引かせるためには、日常生活からの注意が不可欠です。
そのなかでも食事療法はもっとも大切なポイントと言っても過言ではないため、しっかりと押さえておきましょう。 食事療法で気をつけるべきポイントは、たんぱく質制限です。
たんぱく質を健康な人と同じ量とっていると、腎臓に負担がかかってしまうため、腎臓病になっているときには減らす必要があります。
(1)主食からたんぱく質を減らす
(2)良質なたんぱく質は必要
(3)食事タイミングと摂取量の調整
(1)主食からたんぱく質を減らす
![(1)主食からたんぱく質を減らす](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3主食から-1.webp)
腎臓病と向き合うにはたんぱく質を減らすことが必要ですが、食欲を安定させたり身体を健康な状態に維持したりするたんぱく質を制限することは、どんな方にとっても決して簡単なことではありません。
そこで、満足感のある食事をとりながらたんぱく質を制限するために、主食からたんぱく質を減らしてみましょう。
たんぱく質と言えば、肉や魚、大豆製品などに豊富に含まれていると思われがちですが、ごはんや麺、パンなどの主食にも多く含まれています。つまり、主食に含まれるたんぱく質に目を向けることで、おかずに含まれるたんぱく質を減らさずに食事を続けられるようになります。
普通のごはんや麺、パンなどを控えるには、低たんぱくの主食を選びましょう。低たんぱくの主食はインターネットで販売されているので、常に用意しておくといいでしょう。
(2)良質なたんぱく質は必要
![(2)良質なたんぱく質は必要](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3良質なたんぱく質-1.webp)
主食からのたんぱく質を控えることで、良質なたんぱく質をとれるようになります。
これにより、食事制限によるストレスがなくなり、腎臓病と向き合うための食事療法をスムーズに進められるようになります。 良質なたんぱく質に含まれる『必須アミノ酸』は、私たちの身体に必要な栄養素であると同時に、体内で作ることができないものです。
たんぱく質制限中でも良質なたんぱく質をとることを心がけ、身体と心の健康を整えていきましょう。
(3)食事タイミングと摂取量の調整
![(3)食事タイミングと摂取量の調整](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3食事のタイミング-1.webp)
タンパク質は、いつ、どれだけ摂取するかも重要なポイント。
一般的に、夜に重い食事をすると、体はエネルギーを効率よく消費できません。
これが習慣になると、余分なたんぱく質が体内に蓄積し、腎臓に余計な負担をかける可能性があります。
なので、たんぱく質を含む食事は昼に集中させる、あるいは一日の中で平均的に摂取することで、腎臓への負担を減らしつつ、必要なエネルギーと栄養をしっかりと摂ることができます。
また、摂取量も一度に多く摂るのではなく、一日に分けて少量ずつ摂ることで、腎臓の負担を減らすことが可能です。
タンパク質制限以外で、気をつけるポイント
![たんぱく質制限以外にも、気をつけるポイント](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2020/10/20201027-4-のコピー.jpg)
腎臓病と適切な形で向き合っていくには、たんぱく質制限以外にも必要なポイントがあります。カロリーをしっかりとり、塩分とカリウムを控えた食事にも注意しましょう。
(1)カロリーをしっかりとる
(2)食塩を控える
(3)カリウムを控える場合
(1)カロリーをしっかりとる
![(1)カロリーをしっかりとる](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3カロリー-1.webp)
たんぱく質が身体のなかできちんと有効活用されるには、カロリーの摂取が大事なポイントになります。
食事からとれるエネルギーが不足すると、体内のたんぱく質が分解されてエネルギーの源となり、たんぱく質を多くとったと同じ状態になります。たんぱく質をしっかりととっても身体や腎臓に負担のない状態にするためには、やはり必要なカロリーの摂取が欠かせません。
たんぱく質を含まない砂糖やでんぷん、油を使い、必要なカロリーの量に近づけましょう。
(2)食塩を控える
![(2)食塩を控える](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3減塩-3.webp)
腎臓への負担を減らすために、食塩の摂取を控えましょう。ハムやソーセージ、練り物などの加工食品や、漬物はなるべく食べないほうが無難です。
(3)カリウムを控える場合
![(3)カリウムを控える場合](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3カリウム.webp)
腎機能の低下が見られる場合には、カリウム制限が必要になることもあります。バナナやキュウリなど利尿効果が高い食べ物を控え、腎臓への負担を押さえましょう。
また、海藻にはカリウムが多く含まれるため、とり過ぎには注意しましょう。
腎臓病と落ち着いて向き合い、腎機能の低下を防ぐには、たんぱく質制限を意識することが大切なポイントです。良質なたんぱく質をとりながら避けるべき食品を控え、心身ともに余裕がある状態で食事療法に取り組みましょう。
なぜタンパク質制限をするの?
腎臓に疾患がある場合、タンパク質制限をすることになりますが、それはなぜか?
基本的な3つのポイントについてお伝えします。
(1)なぜたんぱく質を減らす必要があるの?
(2)どのくらい減らせばいいの?
(3)どんな食事をすればいいの?
(1)なぜたんぱく質を減らす必要があるの?
人間が生きていくために必要なエネルギーには、3つの要素があります。
●たんぱく質
●炭水化物
●脂質
の3つです。
これらを栄養素として体内で燃やすことで、それをエネルギー源として、私たちは活動をしています。
![(1)なぜたんぱく質を減らす必要があるの?](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3タンパク質を減らす.webp)
どの栄養素も燃やすと、二酸化炭素と水が発生するのですが、たんぱく質だけは、さらに尿素窒素などを体内で発生させます。
尿素窒素は毒素なので、通常は腎臓で尿とともに体外に排泄されます。
が、腎臓の働きが悪くなると、毒素が体外に排泄されずに、体内に残ってしまいます。
そこで『透析』や『腎臓病』などで腎臓の働きが弱くなった方には、今以上に、腎臓機能を悪くしないために、毒素のもとになるたんぱく質の摂取量を減らして、腎臓の負担を軽くする必要があるのです。
(2)どのくらい減らせばいいの?
日本腎臓学会のガイドラインによれば、標準体重当たりのたんぱく質の推奨摂取量は、1日0.6〜0.7gとされています。
なので、たとえば体重が60kgの型であれば、36〜42gということになります。
ただ、たんぱく質の制限をおこなうことで、たんぱく質の摂取は抑えられます。
![(2)どのくらい減らせばいいの?](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3どのくらい減らす-1.webp)
が、同時に摂取カロリーが下がってしまい、栄養不良を起こしてしまうこともあるので注意が必要です。
カロリー不足になると筋肉量が減っていきます。
筋肉はたんぱく質ですから、それが体内で分解されてしまうと、自分で自分の肉を食べている状態になってしまい、逆に窒素代謝物が増えて、腎臓に負担をかけてしまうことに繋がります。
(3)どんな食事をすればいいの?
![(3)どんな食事をすればいいの?](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3どんな食事.webp)
そこで、たんぱく質以外の栄養素である「炭水化物」「脂質」でカロリーを補給するのです。
腎臓病食品交換表という表を参照して、上手に調理方法を工夫した食事を心がけることが必要です。
ちなみに糖尿病や肥満以外の方の場合、1日の目標摂取カロリーは、標準体重(身長m ×身長m ×22)当たり30〜35kcalです。
タンパク質制限食レシピの例
腎臓の負担を減らしつつ、美味しく食事を楽しむためには、低タンパク質のレシピが役立ちます。
(1)簡単豆腐ハンバーグ
(2)野菜たっぷりの玄米リゾット
(3)低タンパクのスムージー
(1)簡単豆腐ハンバーグ
![(1)簡単豆腐ハンバーグ](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3豆腐ハンバーグ.webp)
材料:豆腐(300g)、きのこ(100g)、玉ねぎ(1個)、ソース(大さじ2)
手順:豆腐をしっかり水切り後、きのこと玉ねぎを炒めます。全てを混ぜ合わせて焼くだけ。
ポイント:豆腐は高タンパク質な食品ですが、量をコントロールすることでタンパク質の摂取量を抑えられます。
(2)野菜たっぷりの玄米リゾット
![(2)野菜たっぷりの玄米リゾット](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3玄米リゾット.webp)
材料:玄米(1カップ)、ブロッコリー(1/2個)、にんじん(1本)、オリーブオイル(大さじ1)
手順:玄米を炊飯器で炊き、野菜は事前に蒸しておきます。それをオリーブオイルで炒め、混ぜ合わせて完成。
ポイント:玄米は白米よりもタンパク質が少なく、食物繊維も豊富で腎臓に優しい選択です。
(3)低タンパクのスムージー
![(3)低タンパクのスムージー](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3スムージー.webp)
材料:バナナ(1本)、青汁(小さじ1)、水(200ml)
手順:全ての材料をミキサーにかけます。
ポイント:通常のプロテインスムージーはタンパク質が多いため、代わりに青汁を用いることで栄養素を補いつつタンパク質は抑えられます。
医療専門家と連携する重要性
医療専門家との連携は、タンパク質制限の効果を最大限に引き出すために不可欠です。
(1)栄養状態の評価
(2)パーソナライズされた食事プラン
(3)定期的なフォローアップ
(1)栄養状態の評価
![(1)栄養状態の評価](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3栄養状態の評価-1.webp)
栄養士や医師と相談し、具体的なタンパク質摂取量や他の栄養素の摂取量を計算してもらいます。
一人ひとりの身体状況に合わせた評価が可能です。
この時、基礎代謝量、身体活動レベル、現在の健康状態なども考慮され、個別の目標が設定されます。
(2)パーソナライズされた食事プラン
![(2)パーソナライズされた食事プラン](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H2パーソナライズ.webp)
栄養士が、個々の生活習慣や好み、アレルギー状況に合わせた食事プランを作成してもらえます。
具体的には、週に何回どのようなレシピを試すべきか、どの食材をどの量使うべきかなどが細かく指示されます。
(3)定期的なフォローアップ
![(3)定期的なフォローアップ](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3フォローアップ_m.webp)
医師による定期的な血液検査などで、腎機能や他の栄養バランスをチェックします。
これにより、食事プランやタンパク質摂取量の調整が必要な場合は早めに対処できます。
必要に応じて、週に一回や月に一回の頻度でフォローアップが行われることが多いです。
タンパク質制限の副作用と対策
タンパク質制限は慎重に行うべきです。副作用と対策をしっかり把握しておきましょう。
(1)栄養不足
(2)体重減少
(3)筋力低下
(1)栄養不足
![(1)栄養不足](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3栄養不足-2.webp)
タンパク質制限を行うと、ビタミンB12や鉄分など他の栄養素が不足する可能性があります。
このようなケースで有用なサプリメントは、医療専門家と相談しながら選びましょう。
(2)体重減少
![(2)体重減少](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3体重減少.webp)
タンパク質を制限することで、食事から得られるカロリーが減少する可能性があります。
アボカド、オリーブオイル、ナッツなどの健康的な脂質を摂ることで、適切なカロリー摂取量を維持する方法があります。
(3)筋力低下
![(3)筋力低下](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H3筋力低下.webp)
筋肉の維持にはタンパク質が必要です。
筋力が低下するリスクを減らすためには、軽いウェイトトレーニングや水泳などの耐力トレーニングが効果的です。
また、良質なタンパク質を効率的に摂取するタイミング(例:運動後30分以内)も重要です。
タンパク質制限で腎臓の負担を軽減|まとめ
![タンパク質制限で腎臓の負担を軽減|まとめ](https://haisyoku.jpn.com/madoguchi/wp-content/uploads/2023/09/H2まとめ-1.webp)
タンパク質制限について見てきました。
まとめると
・尿を作り、老廃物を体外に出す
・血圧を適切な状態にコントロールする
・血液を作る働きをサポートする
・ビタミンDを活性化し、骨を強くする
・体内環境のバランスを保つ
(1)原発性と続発性
(2)急性と慢性
(3)末期腎不全
(1)主食からたんぱく質を減らす
(2)良質なたんぱく質は必要
(3)食事タイミングと摂取量の調整
(1)カロリーをしっかりとる
(2)食塩を控える
(3)カリウムを控える場合
(1)なぜたんぱく質を減らす必要があるの?
(2)どのくらい減らせばいいの?
(3)どんな食事をすればいいの?
(1)簡単豆腐ハンバーグ
(2)野菜たっぷりの玄米リゾット
(3)低タンパクのスムージー
(1)栄養状態の評価
(2)パーソナライズされた食事プラン
(3)定期的なフォローアップ
(1)栄養不足
(2)体重減少
(3)筋力低下
でした。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございます!