配食サービス『撤退する店舗」の理由とは?

日本配食サービス協会で開業支援を受けた方のなかにも正直なところ、大変残念ですけど撤退された方もいらっしゃいます。

でも撤退する理由はほとんど同じです。ということは「これって逆に言えば始める前から対策を立てられるんじゃないの?」とも思えますよね?
なので、これから店舗開業をするあなたと共有できればと思ってこれを書いています。

 

配食サービス『撤退する店舗』理由❶

離職客が多く、売り上げが伸び悩み疲弊するから

大手フランチャイズ本部の説明会でもお話がある通り今後も高齢者は増加します。配食市場は、確実に拡大していきます。でもその一方、せっかく獲得した新規客が入院や食べ飽きという理由から離食してしまうのです。このことは配食サービス業界ではよくあることで、いわゆる「あるある」状態なのですが、意外と知られていません。

配食サービスの売上って一直線では伸びていかなくて、3歩進んでは2歩下がる状態が続きます。結構な期間、売上が停滞する時期があるのです。それが原因で「いつになったら黒字化するのか?」という不安から経営者のメンタルが削られていくのです。そして大抵の場合、そのくらいのタイミングで当初の資金が尽きて「やっぱりやめよう」ってなることが多いです。

対策❶:ランニングコストを最小にして1年目を乗り切ろう

一進一退の状態が続いても売上は確実に伸びていきます。1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と右肩上がりに売上は上がっていきます。問題はその間を乗り切れる経営体力があるかないか?です。なので、店舗運営の不安を少しでも軽減するために運転資金は多めに確保しておきましょう。1年目を乗り切って決算書を出すことができれば金融機関から創業時よりも、ぜんぜん楽に融資を引き出すことができます。

また決算書の損益を少しでもプラスにするために、毎月のランニングコスト(経費)を抑えられる対策が必要です。フランチャイズに加盟を考えているなら入会金/保証金以外の月々の会費がどのくらいか?を冷静に判断してみることをオススメします。



配食サービスを撤退する店舗の理由

慢性的に赤字が続いてしまい、将来の展望が見えない

赤字の店舗には、かならず原因があります。
(1)そもそもマーケットが小さく、お客さんが少ない。
(2)営業にキチンと行かれていない。もしくはやり方が悪い。
(3)食材費の管理がずさんで(F/Lコスト)が、経営を圧迫している。
(4)営業資金(運転資金)が調達できず、店舗継続が難しい。

という理由です。ほとんどの場合、4つのどれかにあてはまります。

F/LコストとはF=food(原価、材料費)、L=Labor(人件費)を足した費用のことです。
FLコストの合計は売上高の50%〜60%以内に収めるように計画しましょう。

対策❷:時間をお金で買う経営感覚を持とう

上記の

(1)そもそもマーケットが小さく、お客さんが少ない。
(2)営業にキチンと行かれていない。もしくはやり方が悪い。

は営業面の問題です。

営業面では、アルバイトを雇ってでも営業に行く時間を確保することを意識しましょう。少しお金はかかりますが、時間をお金で買う感覚も経営には必要です。一方で残りの2つ

(3)食材費の管理がずさんで(F/Lコスト)が、経営を圧迫している。
(4)営業資金(運転資金)が調達できず、店舗継続が難しい。

は資金面の問題ですね。

資金面では、開業当初から余裕を持った資金計画をすることと、ランニングコストを1円でも少なくすることです。一進一退でも、営業さえしていれば、少しずつ売上は伸びていくので、営業を絶やしてはいけません。一度決算を出して、2年目以降の融資を有利に引き出せれば、長く店舗を継続することにつながります。

 



配食サービスを撤退する店舗の理由

開業当初は休みがなく、身体と心がもたない

撤退する店舗のほとんどは、1年以内に撤退をしてしまいます。理由は、資金が尽きてきた頃、先の見えない展開に「辞めるなら早い方がいい」と判断してしまうからです。

確かに資金がなければ、運営はできませんし、お客さんが少ないエリアでは、将来的に継続が難しい事例もあります。でもマーケットが良くないエリア以外で、止めてしまうのはもったいないです。継続を続けた方が正解、という場合がほとんでです。

 

対策❸:事業は継続してこそ意味がある

石の上にも三年といいますが、事業は継続してこそ意味があります。継続している会社には、それ相応の評価があります。何年も事業を継続している社長さんならお分かりになると思いますが金融機関からも融資も受けやすくなるのです。

ほかにも長く事業をすることで、得られるものがあります。それはケアマネージャーさんからの信頼です。

高齢者向け配食サービスの営業先は、ほとんどがケアマネージャーさんなので、それだけでも『財産』ですよね。会社員でなくなったら、守ってくれる人は自分だけです。休みがなくても3ヶ月〜半年はやれる気概がなければ、独立は難しいと覚悟してください。

厳しいことを言うようですが、夢のような未来を見せて開業をさせても、バラ色な世界だけが広がっている訳ではない。とキチンと伝えることも私たちの仕事なのです。まずは経営者になるんだというメンタルを育てましょう。生半可な気持ちで事業を始めるべきではありません。そして事前準備をしっかりしましょう。事業継続の可能性が大きく変わってきます。



配食サービスを撤退する店舗の理由❹

食材原価が高くて儲からない。

当たり前の話しですけど、食材の原価は、経営に大きく影響があります。お弁当の売価が600円で、仕入れが240円なら原価は40%です。ではこの場合に必要な売上はいくらでしょうか?

食材の仕入れ値は当初から変更がありません。どんな経営者でも商売をやる以上は、ある程度ソロバンを弾いていたはずです。でも、これに見合う売上目標、原価計算に、そもそも無理がなかったのか?きちんとした検証をする必要があります。

 

対策❹:F/Lコストを意識して工夫をしよう

通常のフランチャイズでは食材の100%を本部から仕入れることが約束事として存在します。これは栄養管理と衛生上の問題からです。しかし付け合わせなどはどうでしょうか?自分で用意が可能なものは、自身で調達するなどの工夫をすることで原価を下げることは可能だと思います。また、F/Lコストも常に意識しましょう。従業員が自分一人なら、食材原価と自身の給料と合わせた金額が売上の60%以下なら十分にやっていかれると言っていいでしょう。

例えば、食材原価=30万円、給料=30万円であれば、FLコストは60%です。残りの40%は金額にすると40万ですから、この場合に必要な全体の売上は、100万円必要という計算ですね。
思ったより売上が上がらない。ということは経営をしていれば、日常茶飯事です。そうなったときにどうするか?のBプランを持っているかどうかが、経営を長く続けられるかの分岐点です。

撤退する方の多くは、そのときになってBプランを考え始める傾向にあります。でも、そのとき考え始めてももう遅いのです。あなたはBプラン(できればC、Dくらいまで)考えてください。

 



配食サービスを撤退する店舗の理由❺

営業しても紹介してもらえない

ケアマネージャーさんに営業すれば、すぐに紹介してもらえると思ったのに全然お客さんを紹介してもらえない。

「事前に聞いていた内容と全然違う」

という悩みを抱えている店舗オーナーさんは、意外と少なくありません。当初描いていた事業計画とズレが生じて、思ったように売上が上がらない、というストレスを抱えてしまうのです。資金も尽きてきたタイミングと合わさって、将来を悲観して事業を閉鎖してしまう…というケースです。

 

対策❺:ケアマネさんからの信用がすべて

お客さんを紹介してもらえない理由は、一にも二にもケアマネージャーさんからの「信用がないから」に他ならないと思います。10年前よりも今は高齢者向け配食サービス店舗が、格段に増えています。そんななか、あなたのほかにもケアマネージャーさんに営業にくる人は、何人もいるわけです。

そのなかから誰を選ぶか?

自分の受け持つ高齢者さんのことを考えれば、信用ある店舗さんから優先して選ぶのは当然です。でも悲観することはありません。すぐには無理でも1年、2年と続ければ、相手の見方も変わってきます。ケアマネージャーさんは、条件が同じなら、可能な限り、売り込みに来た業者さんには、公平に仕事を振るように努めてくださっています。

あなたが本当の配食のプロ、福祉のプロとしての自覚を持って日々過ごしていけば、あなたにも福祉の知識が身についてきます。そうなればケアマネージャーさんの信用を得ることはさほど難しいことではありません。その信用と比例して、売上は上がっていくでしょう。



配食サービスを撤退する店舗の理由❻

営業資金がショートする

このケースは最近多く見られるようになりました。理由は開業のハードルが下がったことも一端だと私は考えています。

以前、フランチャイズ本部に加盟するために、100万円以上の加盟金が必要な時代がありました。しかし最近では加盟金・保証金0円というケースも珍しくなくなっています。その分、気軽にではないでしょうが、開業をしたのはいいが、自己資金をあまり持たずに開業したために、開業のために目一杯借入れを起こしていて、最終的に運転資金が足りなくなって、撤退するというパターンです。

 

対策❻:150万円の自己資金を用意しよう

事業を起こすには、それなりに覚悟が必要です。やるからには成功しなければ意味がありません。その覚悟は自己資金という形で表われます。全てを銀行借り入れで調達するのではなく、少なくとも150万円は自己資金で用意しましょう。できなければ1年経たずに、追加融資を申し込む可能性があるからです。もし、そこで融資を受けられなければ「ジ・エンド」になってしまいます。始める前から勝負が決まってしまうことに挑むのは挑戦ではありません。

ただの無謀な行為です。

社長には誰でもなれますが、社長でい続けるのは大変難しいことです。会社をやめて、脱サラするのなら絶対に成功しないと意味がありません。150万円という金額は、そのための最低資金だと考えましょう

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一般社団法人 日本配食サービス協会 代表理事 吉田幸生
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